今年もドイツフェスティバルでジャパンビアソムリエ協会がワークショップを開催しました。3連休の中日の11月2日(日)、14時から1コマ、18時から2コマというスケジュールで、ワークショップの合間にはビアソムリエ達が入れ替わり立ち替わりでメイン会場の一画に集い、和やかに乾杯しました。

根岸絹恵協会理事
ワークショップ1コマ目は根岸絹恵協会理事による「ドイツビールとドイツパンセミナー」。ドイツビール5種とドイツパン5種をドイツ式に楽しむ方法を紹介しました。募集15名のところ、テーブルのキャパシティいっぱいいっぱいの22名が集まる盛況ぶりでした。

パンは全て吉祥寺の「ベッカライカフェ・リンデ」のものです。写真手前から小麦が原料の白パン2種、ラウゲンブレッツェルとカイザーセンメル。形状はテーブルロールですが、ひと口大にカットしてあります。そしてライ麦を使ったハードパン3種のスライス、スパイスやフルーツ(レーズン、イチジク、ヘーゼルナッツ、シナモン、アニス)を入れて焼き上げ表面にゴマをまぶしたスパイスブロート、小麦よりライ麦の比率が高いロッゲンミッシュブロート、ライ麦100% でしっとりしたロッゲンザフトブロート。
バターやクリームチーズをたっぷり塗るのがドイツ式。キュウリも載せてオープンサンド状にして食べます。

左から番号順
ビールとパンのペアリングを教わるというより、自身でいろいろ試して美味しさを探求する場です。「ラガーはすっきり。ヴァイツェンはどっしりして苦みが少なく、女性も飲みやすいです」などの簡単なヒントを参考に、あとは順番に注がれたビールと手元のパンを自由に合わせて食べ比べていきます。
ビールは供出順に以下。
①Paulaner Oktoberfest Bier
ビアスタイル:ラガー / メルツェン
②Hertl Mutti’s Sonnenschein / Die Helle!
ビアスタイル:ラガー / ヘレス
③Franziskaner Hefe-Weissbier Naturtrüb
ビアスタイル:エール / ヘーフェヴァイツェン
④Riegele Aechtes Dunkel
ビアスタイル:ラガー / ドゥンケル
⑤Köstritzer Schwarzbier
ビアスタイル:ラガー / シュヴァルツ
「リストが愛したビールです。コーヒーがわりにケーキやデザートと共に楽しんでも」という最後のビールの説明には「へぇ」という声が上がり、ちょっとした発見にも繋がったようです。「これで参加費1,500円は、超お得!!」という感想も聞かれました。テントを出た会場内にはパンやスイーツを販売する出店があり、受講後すぐに実践に移せる、お役立ちな会でした。

中島輝行氏(左)と山上昌弘氏
ワークショップ2コマ目は「ビアソムリエ世界大会の世界」。9月にミュンヘンで開催された世界大会に日本代表のひとりとして参加した中島輝行氏と、引率した山上昌弘協会会長が担当しました。
中島氏は現地入りしてから大会出場後までの体験を写真入りで説明。「みなさんをミュンヘンの旅にいざないます」と、経験したことや感じたことを活き活きと語るその様子に、会場からはしばしば感嘆の声が上がりました。予選を通過するには厳しい官能試験と筆記試験を勝ち抜かねばなりませんが、それより先はこうしたプレゼンテーション技術が物を言います。大会の詳しい様子については、もうひとりの日本代表として出場した内田志歩氏の体験記をご覧ください。

左から番号順
中島氏のトークが終わった後は、ドイツビールのフリーテイスティング。国内最大級のドイツビール通販サイトbier.jpの輸入アイテムです。フェスティバル会場出店のビールとはまたひと味違った魅力のものが並びました。
①Hertl Mutti’s Sonnenschein / Die Helle !
ビアスタイル:ラガー / ヘレス
バイエルンのフランケン地方で一番小さな醸造所だというヘアトル。ラベルにはブルワーの家族の顔が描かれています。「ママのサンシャイン」という意味の商品名の下にラベル記載されているのはビアスタイルのHellesならぬ Helle(明るさ)!。全てを明るく照らす母の存在そのものを表しているようで、味わいも晴れやか。
②Hertl Papa’s Weißheit / Der Weiße
ビアスタイル:エール / ヘーフェヴァイツェン
父への敬意を表した「パパのヴァイスハイト(知恵)」という商品名は、白濁したビールを表すヴァイス(白)とかけています。このビアスタイルのお手本のようなバナナやクローブの香りとクリーミーな口当たりです。
③Hertl Oma’s Betthupferl / Die Stark
ビアスタイル:エール / ボック
力強く温かく家族を見守る祖母に捧げる「おばあちゃんの寝酒」という商品名のボック。ABV6.5%のこっくりとした味わいで、身も心も温まるかのような包容力を感じます。
④Lemke Cuvée Berliner
ビアスタイル:エール / ベルリーナーヴァイセ
ナポレオン統治時代には「北のシャンパン」と評されたベルリーナーヴァイセですが、それをクラフトビールとして確立したパイオニアがレムケです。これはチェリーを漬け込んだサワービールのブレンドで、ビアスタイル特有の軽やかな酸味のみでなく、フルーツの持つ華やかな酸味と、熟成による奥深い複雑味が魅力。みなさん遠慮してちょっとしか飲まなかったのか、若干慣れない味わいだったのか、ボトルが空にはなりませんでしたが、残りはビアソムリエ達が絶賛しつつ美味しくいただきました。
ワークショップでの試飲で自分の好みを見極めた上で、会場のビールを買いに行った参加者もおいででした。ビールを飲んだ勢いで参加しても、飲む前に参加しても楽しいワークショップだったのではないでしょうか。

この日に集まったビアソムリエ達は、ワークショップに参加する人あり、ちらりとテーブルに立ち寄る人あり、それぞれが好きなスタイルでドイツフェスティバルを満喫しました。みなさん、ビールを片手にハッピーなお顔。また楽しく集まりましょう。
取材・文 Doemens Biersommelier 近藤さをり







