昨年10月23日にスタートしたBiersommelier-Stammtisch。一年を経て開催の形が多様化し、拡がりが出ています。「シュタムティッシュ」という言葉はドイツの飲食店における「常連のテーブル」を意味するため本来は一定の場所なのですが、少し解釈を拡げ、ビアソムリエが定期的に集まる場として毎月23日に開催してきました。昨年のレポートにあるとおり、ビアソムリエらが自由に語り合う場というコンセプトはそのままに、例えばビアフェス会場で開催するバリエーションもありました。発足当時はシュマッツ・ビアホール 日比谷グルメゾンでの開催を基本としていましたが、Doemens Biersommelier 2期生の吉田基治氏が今年秋に秋葉原にCraft Beer 2むぎを構えたことから、現在のところこちらがメインの拠点となっています。白木の一枚板のカウンター2本、ドイツ製の陶器のビールタワーがあるコージーな空間で、居合わせた人同士がすぐに打ち解けられそうな雰囲気は、この会の主旨にはぴったりです。

10月23日開催時の様子
10月23日のStammtischは、店舗のグランドオープン前だったため、貸し切り状態での開催。カウンターとテーブルの席が近いため、一か所に固まったきりにならず、席替えあり立ち飲みありで、ほど良い交流が生まれます。初参加の人も、全員と言葉を交わすことができる距離感です。

店主の吉田基治氏と10月23日開催時に空けたボトルや缶
この日はまだタップが繋がっていなかったため、店の冷蔵庫にあるものや参加者の持ち込みで、幅広いアイテムが集まりました。持ち寄り会は、自己紹介にもなれば、ビアソムリエとしてのプレゼンテーションの機会にもなるので、なかなかエキサイティングです。

11月23日開催時に、自作のビールを披露した早川卓浩氏
11月23日のStammtischは、Doemens Biersommelier 3期生の早川卓浩氏が、自身のファントムブルワリーTAF Brewingで造ったビール「Tangy Upper(Sour IPA with 日向夏)」をタップに繋いで披露。こうした自由が利くのも新たな会場の魅力です。早川氏は眼科医が本職ですが、仲間と共に1年ほど前からビールづくりを始め、これが7作目とのこと。まずは造りたいビールの構想を練り、それを実現できるブルワリーの門を叩くという方法で、今回のビールは里武士・馬車道で仕込みました。

ビリヤニを提供した早川宏子氏
この日はゲストフードもありました。早川氏の奥様である宏子氏が手製のチキンビリヤニを提供しました。インドから輸入した専用鍋を持ち込んで調理する本格派。オープンキッチンなので、こうして調理器具まで見せるプレゼンテーションができます。

チキンビリヤニ
香り高いバスマティライスにスパイスを効かせたマサラのビリヤニに、和柑橘の爽やかなフレーバーの「Tangy Upper(Sour IPA with 日向夏)」が合います。添えられたライタを掛けると乳酸発酵によるSour IPAの酸味と更によく馴染み、まさに夫婦だからこそのマリアージュという演出。

カウンター内で料理の腕を振るう松宮邦明氏
もちろん、店舗メニューの料理もオーダーできます。ビールに合うちょっとしたおつまみから本格的な魚・肉料理までカウンター内で手際よく作るのは松宮邦明氏。「とろけるサーモン〜ハーブの香り仕立て〜」は、ミキュイのように滑らかな食感で、店主も必食と推す一品です。もともとQRコードで個別会計に対応しているシステムのため、Stammtischでも実施時間内は各自のタイミングで来店・退店が可能です。平日開催だと仕事の都合で来店時刻が遅くなることもありますが、これならば安心ですね。

Biersommelier-Stammtischは、ビアソムリエ協会の資格を保有する方であれば、どなたでも参加できます。開催の告知はビアソムリエ交流会(非公開Facebookグループ。新規参加は申請/承認が必要)での投稿、またはLINEグループに参加して見ることができます。
取材・文 Doemens Biersommelier 近藤さをり







